とあるにもかかわらず、読売テクノ・フォーラムに掲載された『STAP細胞事件を論評する』という記事の一部が転載された。
ryobu-0123さんが「共感すべき重要な科学に対する問題意識と主張がスカッと単刀直入に表現されている」という理由で、共感できる「部分を掲載する」行為は、もはや引用ではなく、それを著作権者に無断で行ったならば、著作権法に違反していますよ
狸なんてひどいもんだ。書くことがないからか他人のブログの賞味期限切れ記事をネタにしているぜ。 - シュレディンガーの狸
この私の主張に対し、ryobu-0123さんから同記事のコメント欄で、その根拠を示せとの要求がありました。ryobu-0123さんの行為は「引用ではない」と根拠を示したのですが、ご理解いただけなかったようですので、ここではなぜ引用ではないかを解説します。ちなみに引用とは他人の著作物の一部を著作権者に無断で自分の著作物に取り入れる合法的行為をいいます。そのような行為が無条件で合法とされることはありえません。結論から先に言うと、ryobu-0123さんの転載が「引用ではない」のは、引用の条件を満たしていないからです。
ところでryobu-0123さんは「ryobu-0123なんてひどいもんだ。書くことがないからか、他人のサイトの記事をまるごとコピペだぜ。(中略)著作権も知らないのかな」(沈殿 | ため息^2ばかりのブログ[強調は引用者])という主張には異議を申し立てていません。
記事全文を使えば「転載」(複製)だが一部だけなら「引用」だ、と考えている人も多いように思われます。
引用して利用する場合には、いろいろな条件を守る必要があります - 毎日新聞社
もしかしたらryobu-0123さんも、そういう人のひとりかなとも思いました。もちろん一部の転載であっても引用の条件を満たしていなければ、違法です。
【ryobu-0123さんは「ため息^2ばかりのブログ」管理人さんに抗議していましたので、この部分は撤回します】2016/11/4
では、ryobu-0123さんの「引用事例」において、どの点が引用の条件を満たしていないのか。
通常は質的にも量的にも、引用先が「主」、引用部分が「従」という主従の関係にあるという条件を満たしていなければいけないとされています。つまり、まず自らの創作性をもった著作物があることが前提条件であり、そこに補強材料として原典を引用してきている、という質的な問題の主従関係と、分量としても引用部分の方が地の文より少ないという関係にないといけません。
引用して利用する場合には、いろいろな条件を守る必要があります - 毎日新聞社
ryobu-0123さんのブログStap事件 ― 米本昌平氏(科学史家・東京大学客員教授)の御尤もな論評!においては、この「主従の関係にあるという条件を満たして」いません。量的に「引用」部分である米本昌平氏の文が「主」(分量が多い)で地の文(ryobu-0123さん自身の手による文章)が「従」(分量が少ない)であることは一目瞭然です。
さらに質的にもryobu-0123さん自身の手による文章が「主」で、引用部分が「従」であるとは認められません。ryobu-0123さんの文章はたった二つで、ひとつは「2015年4月、読売テクノ・フォーラムに掲載した米本昌平氏の『STAP細胞事件を論評する』という記事があった」です。この文は事実の指摘にすぎません。もうひとつは「その記事をそのままを同調しはしないが、共感すべき重要な科学に対する問題意識と主張がスカッと単刀直入に表現されている部分を掲載する」ですが、これは米本昌平氏の論評に対するryobu-0123さんの漠然とした感想にすぎません。この二文をもって「自らの創作性をもった著作物」とするには無理があります。つまりryobu-0123さんは引用する前提条件がないところで「引用」しているわけです。
ryobu-0123さんのやっていることは、例えば「わたし、この小説が大好き。なかでも私の気に入ったところを紹介するね」といって、その部分を転載するようなものです。それは引用とは認められず、著作権者の許可なく行えば、著作権の侵害となります。
以上、納得していただけたでしょうか。