シュレディンガーの狸

このブログがなぜ"シュレディンガーの狸"と名付けられたのか、それは誰も知らない。

エースはひとり、ACEはふたつ

ため息さんのコメントです。

興味あることに、今回の問題のコロナウイルス(2019-nCoV)が細胞に侵入する際angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2)という酵素に結合する可能性があるという論文の指摘だ(下線部分)。
ちなみにACE2とはアンジオテンシンI(AngI)を生理活性を持つアンジオテンシンII(AngII)に変換するangiotensin-converting enzyme(ACE)とは異なり、AngIIからアミノ酸1ケを取り除くのでAngIIを不活性化する酵素でACEのホモログ(これらの蛋白をコードしている遺伝子が類似している物質*)である。(*正確なホモログの定義ではないでしょうけとわかりやすく書いてみました)
〔中略〕
ACE2の働きを阻害すると失活するAngIIが少なくなる、すなわち昇圧になると思われるが、ACE2ノックアウトマウスでは、確かに血中AngII濃度が高くなるものの、高血圧症にはならないことから、直接の血圧調節への関与の程度は低いと思われる。したがってこの問題のコロナウイルスがACE2に結合し、仮にACE2の機能を阻害したとしても血圧調節への関わりはあまりないと予想される。

 なるほど、AngIをAngIIに変換するAECの他にもうひとつ、ACE2というのが存在していたというわけですか。ややこしいですね。学とみ子さんはACE2の存在を知っていたのでしょうか。

ウイルス感染症が、人の血圧調節機能の受容体と関連することは、今後も注目だろう。

なんて書いているところを見ると知らなかったのでは、と思いますけどね。もっともACE2が同定されたのが2000年ですから、老女医が知らなくても仕方ないですね。もちろん一般人である私はACE2どころか本家のACEすら知りませんがね。

ちなみに2003年にSARSウィルスの宿主受容体がACE2であることが発見されています。そのとき誰もウィルスと「血圧調節機能の受容体」との関わりについて注目しなかったのでしょうかね。

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