【『逃げ恥』人気便乗企画第3弾】STAP黒白相撲合戦
ここは、とあるテレビ局の会議室。プロデューサー(P)とディレクター(D)とアシスタントディレクター(A)が大みそかの特番について話し合っている。
【第一回企画会議】
A 大みそかの特番といえば、格闘技でしょう。
D ばか。オレはそんな、低級な番組は作るつもりはない。
P 何か、斬新なアイデアがあるのか?
D ない。
A 今年、ヒットした『逃げるは恥だが、役に立つ』に便乗してみては?
これは外国のことわざで「自分の戦う場所を選べ」という意味らしいですよ。
D それがどうした?
A だから、逃げている人に戦う場所を用意して、戦ってもらうんですよ。
D 逃げている人って誰?
A 若山照彦さんです。
D だから、誰?
A え、知らないんですか。元理研の研究員で、STAP論文の共著者ですよ。
D で、その人、誰から逃げてるの?
A もちろん、小保方晴子さんです。
小保方さんの手記『あの日』で若山さんはボロカスに言われているんです。
でも若山さんは全然、反論しないんですよ。逃げてますよね?
D それは逃げているんじゃなくて、ただ無視しているだけだよ。
A 違います! 『あの日』に書かれていることが真実なんで、反論できないんです。
若山さんは逃げているんです!!
P 若山さんが逃げているとして、君はどういう戦いの場を用意するつもり?
A だから小保方さんと対談してもらうんですよ。それをテレビで生中継する。
P その企画は無理だな。君も小保方さんの記者会見を見ただろう。
彼女はテレビ映りもいいし、プレゼン能力も高い。
テレビは若山さんが戦う土俵じゃない。
D だいたい、そんな番組観るのは、お前みたいなSTAPヲタクだけだよ。
P 確かに対談では数字はとれない。若山さんが戦う土俵は科学だ。
しかし、大みそかに科学番組じゃ、もっと数字がとれない。
A やっぱり、だめですか。
P いや、まて。そう、大みそか特番といえば格闘技だ。
二人にはどちらの土俵でもない土俵で戦ってもらおう。
D といいますと?
P 本物の土俵だよ。二人には相撲で戦ってもらう。
で、勝ったほうが白、負けた方が黒、ということでSTAP問題に決着をつける。
D それ、面白いです。絶対、数字とれますよ。紅白を超えますよ。
【第二回企画会議】
P 小保方、若山両氏ともOKだ。
日本相撲協会は検討するという返事だったが、たぶん大丈夫だろう。
A 相撲協会も関係あるんですか?
D 大取り組みを盛り上げるには前座が必要だ。本物の力士にも相撲をとってもらう。
そうしないと3時間の尺が埋まらん。
P で、二人の四股名は決まったのか?
D はい。小保方晴子は小保ケ嶽杜春(おぼがたけ・もりはる)にしました。
小保方は早稲田の杜の晴子で杜春です。
若山照彦は若乃山玄雲 (わかのやま・げんうん)でどうでしょうか。
A 若山さんはクローンの玄人なので玄雲。
P 若山の方はちょっと苦しいが、ま、いいだろう。
【第三回企画会議】
P 残念だが、今回の企画はボツだ。
A えーっ、いったい、どうしてですか!?
P 相撲協会から協力できないと返事があった。
女性を土俵に上げるわけにはいかないということらしい。
D それなら、交渉の余地はありますよ。
前々から相撲協会は女性を差別しているという非難があるんですから。
うちの局でその問題を大々的にキャンペーンすると脅してみればどうですか。
P いや、問題はそれだけではないんだ。
もうひとつ、どうしようもない問題がある。
A なんですか、そのどうしようもない問題って?
P 若山さんは髷が結えない......