新指導要領解説 https://t.co/cYBudX5yuJ 算数(2)p.114 「被乗数と乗数の順序は…大切にすべきこと」「乗法の計算の結果を求める場合には…被乗数と乗数を逆にして計算してもよい」「英語圏などでは順序が日本と逆になっている場合があることに注意」
— Haruhiko Okumura (@h_okumura) 2017年6月21日
この「新指導要領解説」についての片瀬久美子さんの疑問。
数学は現代の世界共通のツールですし、敢えてそこにローカルルールを教え込む必要性はどれだけあるのだろうか、というのが私の疑問と懸念です。
— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2017年6月21日
現代の数学(算数)の話をしているのに、古代の話(ローカルルール)をされても…。
「ローカルルールを教え込む」のではない。ローカルルール(日本における習慣)に従うよう訓練するのである。それは言語的単位(助数詞)とは区別されるべき数学的単位というものが存在するということ、そして数学の世界には言語的単位は存在せず、ただ単位の無い純粋な数(数学的数)のみが存在するということを子供に気付かせ、把握させるためである。ちなみに「ひとつ」「ふたつ」等々における「ひと」「ふた」は言語的数(数詞)であり「つ」は助数詞である。
数学的単位を教えることの困難さは、それが数学の世界には存在せず、それを応用する科学(物理学や工学など)の世界に存在するという点にある。すなわち数学的単位といえども、それを数式の中に持つこむことは許されない。それは数学的単位が完全に数学的存在ではなく、なお言語的性質を温存しているからである。このことは、例えば1と(完全に数学的存在である)代数aの積は(1aではなく)aと記述されるが、1と数学的単位m(メートル)の結合は1mと記述しなければならないことに示されている。数学的単位の、こうした難解な性格を子供に「教え込む」ことは不可能である。というよりも、そうしたことは大人でも理解していないであろう。
「新学習指導要領」には次のように記されている。
そこで,「1皿に5個ずつ入ったみかんの4皿分 の個数」を表す場合,一つ分の大きさである5を先に書き5×4と記す。このように乗法は,同じ数を何回も加える加法,すなわち累加の簡潔な表現とも捉える ことができる。言い換えると,(一つ分の大きさ)×(幾つ分)=(幾つ分かに 当たる大きさ)と捉えることができる。 また乗法は,幾つ分といったのを何倍とみて,一つ分の大きさの何倍かに当たる大きさを求めることであるという意味も,併せて指導する。このときも,一つ分に当たる大きさを先に,倍を表す数を後に記す。例えば,「2mのテープの3倍の長さ」を表す場合,2×3と記すことにする。
「1皿に5個ずつ入ったみかんの4皿分の個数」という文には「個」と「皿」という二つの単位が登場する。この文の中で、どちらが数学的単位であり、どちらが言語的単位であるか、あるいは同じことであるが5と4のどちらが数学的単位を有する数(名数)であり、どちらが純粋な数学的数(無名数)であるのか、この区別を把握する手段として(日本の)習慣に従って5×4と書かせることが有効である。そのような訓練を通して子供には、まず二つの数に区別がある ということを気付かせること、これが肝心である。そのことに気付けば、その区別が何であるかは自ずから把握される。
ただ英語圏で育った子供は日本とは逆の習慣に従うよう訓練されているので、厄介である。
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