シュレディンガーの狸

このブログがなぜ"シュレディンガーの狸"と名付けられたのか、それは誰も知らない。

転載の天才イケダハヤトさんの開き直りを批判する。

今回は毎年恒例、年に一度のイケダハヤト批判です。
ちなみに2014年はこれ。

giveme5.hateblo.jp

でもって2015年はこれ。

giveme5.hateblo.jp

そして今年、批判の矢面に立たされる記事はこれだ。

www.ikedahayato.com

しばしば「イケダハヤトのブログは引用ばかりのパクリブログだ!けしからん!」的な批判をいただくので書いてみます。

そういうわけで「不当」な非難にイケダさんは苛立っている。そして「無断転載」の何が悪いの、と開き直っている。

まず無断転載について考える前に、著作権について基本的なことを確認しておこう。(狭義の)著作権とは「著作物を排他的に支配する、財産的な権利」である。したがって著作権の侵害とは財産的権利の侵害なわけだ。といっても窃盗などと違って、著作権を侵害したからと言って著作権者の財産が減るわけではない。ただ本来得られるはずの利益が得られないという意味で財産権の侵害になるのだ。

例えば私がこのブログで『あの日』に書いてある文章をそのまま転載したとしよう。そうすれば多くの人が『あの日』を買わなくなり、本来、小保方さんに入るはずの印税(著作権使用料)が入らなくなる(もっとも小保方さんの場合、印税は前払いらしいので若干、話はややこしくなるが)。

もっとも(私も含めて)多くの個人ブロガーはブログで稼ごうなどとは考えていないはずだ。だから営利目的でないブログなどの無断転載が財産権の侵害になるとは言えない。ただしブログ運営会社にとっては、本来得られる広告収入が得られないという点では財産権の侵害であると言える。

さらにイケダさんの無断転載は形式的には違法だけれど、実質的な「被害者」はいないのではないか。イケダさんのような有名ブロガーに無断転載された場合、転載された側は感謝している場合が多いと想像される(実際、イケダさんもそのように想像しているみたいだ)。そんなときは「何が悪い」と開き直りたくなる気持ちもわからなくはない。もっとも、著作権侵害の罪は親告罪なので、被害者が告訴しない限り、罰せられることはない。

「無断転載だ!」「引用ではない!」とぼくを批判する人は、ぜひ「なぜ(イケダハヤトがやっている形での)無断転載が悪いのか」を明文化して伝えてください。

残念ながら、私は「イケダハヤトがやっている形での」著作権侵害を、いちいち検討する気はない。そもそもイケダさんの行為が本当に著作権侵害になるのかどうかすら、私にはわからない。むしろ「特別養子縁組」を巡る議論が盛り上がっているのでまとめてみるなどは引用の範疇に収まるのではと思ってしまう。こういう微妙な線で「無断転載」をする点でイケダさんは転載の天才である。

さらに「法律違反だから悪いんだ!」というのも、思考停止です。「なぜ法律は、それを違反だと規定しているのか」まで言及してください。

これなら答えるのは簡単だ。冒頭で述べたように法律は著作権財産権であるから、それを保護し、著作権を侵害する行為を禁止しているのである。要するに泥棒を取り締まるのと同じ理屈だ。ただし、既に述べた通り、営利目的でないブログの転載が著作権者の財産権の侵害になるとは言えない。要するに法的な側面からイケダさんを批判することはむつかしいということだ。

もう少し突っ込んでいくと、ぼくが行っている無断転載が、社会的に悪いと判断されうるもので、それによってぼく自身が何らかの罰を与えられるとしても、ぼくは甘んじてその罰を受け入れるつもりです。

法律との摩擦が起きる可能性はあれど、ぼくはぼく自身が悪くないと考える方法で、「無断転載」を行っています。行為するにあたって、法律よりも、自分の意志の法が優先している、という状態ですね。

ここで疑問なのが、イケダさんは自分のやっていることが引用ではなく、転載だと自覚しているのなら、なぜ転載する前に著者権者(著作者)の許可をとらないかということである。おそらく面倒くさいから、いちいちそんなことをしていれば時間がかかって非効率だという理由であろう。それに下手に転載の許諾を申し込んで、相手から返事がなければ、それこそ正真正銘の「無断」転載になってしまい、しかも証拠まで残ってしまう。

「法律よりも、自分の意志の法が優先している」とカッコつけるイケダさんに欠けているのは順法精神ではなく、著作者への敬意である。  

さらにいえば、「無断転載」の直接の被害者からクレームがあれば、コンテンツを取り下げることも検討します。 

「検討します」じゃ、ないでしょ。ここは「直接の被害者からクレームがあれば、まず謝罪し、そして直ちにコンテンツを取り下げます」でなければならないはずだ。「有名ブロガーである僕がせっかく転載してあげたのに、あなたはそれを被害だというの。おどろいたね。ま、法的にはこちらに問題がないとは言えないんだから、削除するかどうか考えてみるね」的な傲慢さ(それは著作者への敬意の欠如の裏面である)が現れた一文である。

「罰を受けようが、わたしは行為する」という覚悟を持つ人に対しては、ぼくら市民は得てして口を噤むことになります。

わたしは口を噤まず、イケダさんにアドバイスする、「転載するなら著作権者に許可をもらいなさい」と。

 

※ネット上では著作権の取り扱いをもっと緩くしてもいいのではという議論もあるそうである。