シュレディンガーの狸

このブログがなぜ"シュレディンガーの狸"と名付けられたのか、それは誰も知らない。

エレベーターのロープ

下りのエスカレーターに乗っていたが、下にも待ち構えている人がいるのでエスカレーターを逆走した。人生で一番の恐怖を感じ、全身が硬直した。力みながら一生懸命下りエレベーターを上る。

あの日」p187

『あの日』を読んだ多くの読者が、よくわからないと頭を悩ませる箇所である。そこで私が解説しようと思う。

 

小保方晴子はホテルのロビーで待っているように言われたが、ウンコがしたくなって女子トイレの中で待った。トイレから出ると、トイレの正面で「NHK(Nippon Haruko Killers)の者です」と、いきなりピストルとナイフを突きつけられた。逃れようと前のエスカレーター(下り)に乗ると前後から挟まれ、下(地下一階)にも待ち構えている人がいるのでエスカレーターを逆走した。そして上(一階)で待ち構えている男に蹴りを一発入れて倒し、ちょうどエレベーターが開いていたので、それに乗り込んだ。晴子は人生で一番の恐怖を感じていたのと、もって生まれたおっちょこちょいな性格から地下一階のボタンを押してしまった。押してしまって、ドアが閉まって、「しまった!!」と思った。地下一階ではNHKが待ち構えているのを忘れていた。

そこで晴子はエレベーターの天井にある脱出用のハッチから脱出を試みた。脱出用のハッチは「外から鍵がかけてあり、外から開けるようになっていますから、中からは開けることは出来ないんですよ」(エレベータの天井には脱出用のハッチがあるって本当? )という常識は晴子には通用しない。驚異的なジャンプ力と腕力で一撃すると、ハッチの鍵は壊れ、晴子は脱出に成功した。

 

そして晴子は下降するエレベーターのロープを両手でしっかりとつかみながら、一生懸命に上へ上へとたぐりのぼり始めました。ややしばらくのぼる中に、とうとう晴子もくたびれて、もう一たぐりも上の方へはのぼれなくなってしまいました。そこで仕方がございませんから、まず一休み休むつもりで、ロープの中途にぶら下りながら、遥かに目の下を見下しました。するとロープの下の方には、数限りもないNHKどもが、自分ののぼった後をつけて、まるで蟻の行列のように、やはり上へ上へ一心によじのぼって来るではございませんか。晴子はこれを見ると、驚いたのと恐しいのとで、しばらくはただ、莫迦のように大きな口を開あいたまま、眼ばかり動かして居りました。

気が動転してしまった晴子は大きな声を出して「何なのよ、NHKの奴らったら。このロープは私のものよ。アンタたち、BPOに訴えられたくなかったら、下りて、下りて」と意味不明なことを喚きました。

その途端でございます。今まで何ともなかったロープが、急に晴子のぶら下っている所から、ブチっと音を立てて断れました。ですから晴子もたまりません。あっと云う間もなく風を切って、独楽のようにくるくるまわりながら、見る見る中に暗の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。(なぜロープが切れたのかについては小保方さんに垂らされた「蜘蛛の糸」を参照)

後にはただエレベーターのロープが、きらきらと太く光りながら、月も星もないエレベーターの昇降路の中途に、短く垂れているばかりでございます。

 

NHK会長さまは会長室のフカフカのソファーに座って、この一部始終をテレビの生中継で、じっと見ていらっしゃいましたが、やがて晴子が昇降路の底へ石のように沈んでしまいますと、嬉しそうな御顔をなさり、スキップしながら御歩きになり始めました。若山に罪をなすりつけようとする晴子の恩知らずな心が、そうして懲戒解雇相当の処分をうけて、無職の身に落ちてしまったのが、会長さまの御目から見ると、浅間しく思召されたのでございましょう。

 

※『蜘蛛の糸』は著作権保護の対象外なので、その一部を剽窃し、またいくつかの箇所を改竄したとしても、ノープロブレムである(と思う)。もし問題があるなら「小説なんて誰が書いても似たようなものになる」と開き直ればいい(と思う)。

蜘蛛の糸