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シュレディンガーの狸

このブログがなぜ"シュレディンガーの狸"と名付けられたのか、それは誰も知らない。

「STAP細胞はあります」を正当化する小保方さんの論理

まず「神はあります」と言う人の主張を聞いてみよう。

なぜ神(GOD)の定義をそぎ落としてそぎ落として、「人間以上の存在」のみとした方が、神の存在の有無に関して理解しやすいかと言えば、神を詳細に説明すればするほど、その内の1つでも否定できた気になると、全部を否定できたと勘違いしてしまう人が多いからです。

(中略)

しかし「神とは人間以上の存在」だけにすると、果たしてその存在を100%否定できる人がいるでしょうか?

神の存在証明(11)神の非存在証明!? 山崎純二 : 論説・コラム : クリスチャントゥデイ

これが小保方さんの論理の本質である。STAP細胞とは異常な細胞である、と定義するならば、その存在を否定できる人はいないでしょう。

まず最初、STAP細胞がどのように定義されていたかを見てみよう。

STAP論文(中略)のDiscussionの冒頭で笹井氏は以下のように述べた。

“This study has revealed that somatic cells latently possess a surprising plasticity. This dynamic plasticity—the ability to become pluripotent cells—emerges when cells are transiently exposed to strong stimuli that they would not normally experience in their living environments.”

つまり、この論文の主張は「細胞が通常の生活環境で経験しないような強いストレスに一時的にさらされると細胞の初期化が起こる」ということなのである。

概念 : 一研究者・教育者の意見

つまりSTAP論文によれば、STAP現象とは「細胞が通常の生活環境で経験しないような強いストレスに一時的にさらされると細胞の初期化が起こる」現象であり、STAP現象により、初期化された細胞がSTAP細胞である、ということになる。しかし、STAP論文は撤回され、STAP現象の定義も消滅した。しかし、その定義を明確にしないと困る人たちがいた。STAP 現象を検証する理研の人たちである。そこで彼らはSTAP現象を次のように定義した。

マウス新生児の各組織の細胞(分化細胞)を一定の条件でストレス処理すると、多能性をもつ未分化細胞にリプログラミングされる

http://www3.riken.jp/stap/j/r2document1.pdf(p1)

その定義では細胞一般が「マウス新生児の各組織の細胞」に限定され、「通常の生活環境で経験しないような強いストレスに一時的にさらされる」が「一定の条件でストレス処理」に限定された。ちなみに「一定の条件でストレス処理」とは具体的には弱酸性(HClとATP)処理のことである。

 そのように限定するのは、とりあえず実験を始めるためである。しかし、その実験に参加した小保方さんはこの定義を是認してはいなかった。彼女は「Past background of STAP | STAP HOPE PAGE」の中で、次のように述べている。

Notwithstanding, my part of STAP study, and STAP phenomenon, was surely confirmed in the verification experiment. Indeed, Dr. Niwa’s STAP verification group also independently succeeded in re-creating STAP cells which expressed pluripotent stem cell markers such as Oct4.

驚いたことに小保方さんの認識では、理研の検証実験においてSTAP現象は確認され、丹羽さんらはSTAP細胞の作成に成功したことになっている。この認識は、おそらく「STAP現象の検証結果」報告書の次の部分で報告されている実験結果に依拠していると思われる。

一方、免疫染色法による Oct3/4 タンパク質の発現の検討では、9 回の独立の実験を行ったところ、5 回で明らかな Oct3/4 陽性細胞を含む STAP 様細胞塊を同定した。これらの結果から、肝臓由来の細胞を ATP 処理して得られた STAP 様細胞塊においては、少数ではあるものの、Oct3/4 を有意に発現する細胞が含まれてい ると結論した。

http://www3.riken.jp/stap/j/r2document1.pdf(p4 強調は引用者)

では検証実験でSTAP現象が確認されたという小保方さんの認識は、どのようにして生じたのか。それはオボカタ原理主義者の聖書『あの日』の中で明らかにされている。そもそもSTAP論文は異なる二つの研究から生まれた。ひとつは小保方さんが主導した研究(STAP細胞の作成)、もうひとつは若山さんが主導した研究(STAP幹細胞などの作成)である。

 『あの日』では小保方さんは以下のように主張する。

 iPS細胞の作製過程で起こる初期化とはまったく異なるメカニズムによってOct4陽性細胞の細胞ができてくる可能性を示したこの実験結果から、ストレス処理後に起こる細胞の変化過程に対する私の興味はさらに強まった。

しかし、若山先生のご意見は違っていて、「Oct4陽性細胞という多能性を示す細胞が採取できるならば、キメラマウス作製こそが最重要なデータであり、iPS細胞のような(無限に増殖できる)幹細胞ができるかもしれない可能性を追うことを目的とすべきだ」とおっしゃっていた。

(p88)

小保方さんの研究の動機は、完全に分化した細胞が(本来、その細胞が示すはずのない)Oct4陽性を示す「異常な細胞」へと変化する過程に対する、たんなる興味にすぎない。これに対して若山さんの研究にはiPS細胞に代わる多能性細胞を作るという明確な目的があった。

私はもうES細胞からのようなキメラマウスはできないというのも重要な結果の一つと捉え、分化した体細胞がストレスを受けるとOct4陽性の細胞塊ができてくるまでの細胞の変化過程を論文化しようと考えていた。

(p90) 

小保方さんはSTAP細胞からは「キメラマウスはできないというのも重要な結果」と捉えていた、すなわちSTAP細胞は多能性をもっていない(初期化されていない)にもかかわらず、Oct4陽性を示す「異常な細胞」と考え、その「生物学的意義を厳密に研究」(p110)しようとしていたのである。

しかし、何故かキメラはできてしまった。そしてSTAP研究は若山さんが主導する第二ステージに移る。STAP細胞が多能性を持っていると勘違いした(させられた)若山さんの研究は、小保方さんのSTAP細胞に寄せる「思いとはどんどんかけ離れて行ってしまった」(p102)のである。

 

以上のように小保方さんのSTAP研究におけるSTAP現象とは、 STAP conditions が細胞を異常化する現象である。この現象はハイデルベルグ大学(STAP conditionsという語を用いたのはこの大学の研究者である)やワシントン大学の研究において、元々、異常な細胞(がん細胞)にも起こる(Oct4陽性やAP陽性を示す)ことが確認された(ただしそれらがSTAPがん細胞と称されることはなかった)。したがってSTAP細胞に特有の異常性については、今後の小保方さんの研究によって明らかにされるであろう。というより小保方さん以外の研究者が、何の役にも立たない無能細胞であるSTAP細胞に興味をもつとは思えない。

 

STAP conditionsという語に象徴されるように、STAPの4文字はその由来であるStimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency(刺激惹起性多能性獲得)とは無関係に、独立した用語として使用されることになっていくであろう。もっとも

「Modified STAP conditions」とは、単に「Acidic stress」のことなのだ。

溶液を酸性条件にするなどと言うのは、実際の研究現場ではあまりにも普通にあることなので、自分がエディター(雑誌側で、論文を最初に見る人)ならば、

「タイトルを直せ。論文の内容が誤解される」

と返信したと思う。

ハイデルベルク大学 : 世界三大不正STAP事件の正しい理解を社会に広める会

と主張する研究者もいるので STAPが神聖四文字として生き残れるかどうかは、予断を許さない。

giveme5.hateblo.jp

 

虚言癖、嘘つきは病気か Dr.林のこころと脳の相談室特別編 (impress QuickBooks)