シュレディンガーの狸

このブログがなぜ"シュレディンガーの狸"と名付けられたのか、それは誰も知らない。

【小説】アグネル三木とジュピタル上田

三木秀夫は倦ねていた(倦ねる(アグネル)とは - いろいろ努力しても思うような結果が得られないで困ってしまう)。小保方晴子は何がしたいのか、三木にはよくわからない。その結果、自分が何をすればいいのかがわからない。「ささやき女将」のおかげで、世間の笑いものになった記者会見の悪夢が脳裏をかすめる。あのような醜態をさらすことだけは避けたい。そして三木は第二の「ささやき女将」になるかもしれない女性の影に怯える日々を過ごしていた。

三木は倦ねている。先日、知財問題のエキスパートである室谷和彦弁護士から相談があった。室谷は「小保方弁護団、必要ですかね」と切り出した。三木はそういえば、そんなものがあったなと思い出した。理研を相手に訴訟を起こすという前提で、二人の他に片山登志子弁護士と藪野恒明弁護士を加え、総勢4名で結成された弁護団である。にもかかわらず、彼らは「STAPあります」会見以降、ほとんど何もしていないし、マスコミに取り上げられることもない。三木は、力なく答えた「必要ないですね」。

そんなことを思い出しながら倦ねる三木の傍らで、スマホが鳴った。表示された名前を見て、三木は一瞬、顔を曇らせた。そして大きなため息をついたのちに、気を取り直し、明るく元気な声で電話に出た。

「はい、三木です。どうかなさいましたか、上田さん」

「ああ、三木先生。大変です。また文春がとんでもない記事を書きました。なんと小保方さんが『目とか顔の皺とかどうにかなりませんか』と婦人公論にオーダーしたっていうんですよ」

「それは、けしからんですな」

「そんな事実はないですよね」

「はい、もちろんです。小保方さんの顔に皺などありませんから」

「それでですね、小保方さんに事実でないことを確認していただきたいのですが」

この一言に、つい三木は

そもそも小保方さん、顔に皺などありません!!!」と声を荒げ、一方的に電話を切ってしまった。そして心の中で叫んだ「オーマイガー!!」上田は小保方擁護派に多大な影響力をもつ人物であり、無下に扱うことは許されない。三木があわてて上田に電話しようとしたそのとき、彼女の方から電話がかかつてきて、彼女はこう言った。

「先生が憤っておられることは、よくわかりました。次回の記事で文春を徹底的にたたきます」

三木は安堵した。こうして『ボイコット!週刊文春が小保方晴子さんと寂聴氏対談の秘話をねつ造 』で上田は文春の不買運動を呼び掛けた。だが三木にはこの記事がそれほど酷いとは思えなかった。いずれにせよ彼女が勘違いしてくれたことは幸いであった。もちろん三木は憤っていた、ただし週刊文春ではなく、しょーもない用事で電話をかけてくる上田に、である。

三木は倦ねている。このまま勘違い女を放置しておいてよいものか。例えば記事『「STAP細胞をヒト由来試料を使って研究する」事を承認した理研の会議記録 』である。ブログのコメント欄にある通り、この「会議記録」の何が問題なのか、三木にもさっぱり理解できなかった。さらに『「STAP細胞をヒト由来試料を使って研究」の記事について。 』を読んだが、やはりまったく理解できない。それ以上に問題なのは、コメント欄の応酬で上田自身が何が問題なのかを説明できずに、最後にはしどろもどろになっていることである。挙句の果てに『木星さん、小保方さんの新たな研究不正を暴露!!』という記事でからかわれる始末である。

そして最近『緊急予告!スクープ!!情報公開で新事実判明!!若山照彦氏の○○でSTAP作製!? 』という記事がアップされた。「次号をお楽しみに♪」としながら、次号も、その次の号も、その次の次の号も「予告」とは関係のない記事である。いったいどんな「スクープ」なのか、三木は何も期待はしていないが、しかし不安は感じている。何か嫌な予感がする。できれば「予告」だけで終わらせてほしい。「トンデモ」記事で笑いものになるくらいなら。幸い、早く「スクープを」というコメントもない。あの「緊急予告」をなかっことにしようという有志の会の一致団結した強い意志を感じる。

だが、こうゆうときに限って狸が「スクープはまだか」と面白半分に騒ぎ立てるに違いない。

三木は「ジュピタル上田」をアグネルしかなかった。

 

【注意】この小説はフィクションですが、登場人物は実在するかもしれません。その場合、名誉棄損で訴えることや「はてな」に削除要求することなどの迷惑行為は止めましょう。

Jupiter~平原綾香ベスト

【追記】「スクープ」出ましたね。

biz-journal.jp

で、何が問題なの?