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シュレディンガーの狸

このブログがなぜ"シュレディンガーの狸"と名付けられたのか、それは誰も知らない。

真実を歪めたのは若山だ!

小保方晴子さんの『あの日』を一言で要約すると、そういうことになる。

しかし、である。

小保方さんの『あの日』が真実を歪めていないという保証はない。

では、本当のところ、真実を歪めたのは、若山さんなのか、それとも小保方さんなのか?

そんなこと、部外者である私にわかるわけがない。そこで私は別の観点から問題を提起してみたいと思う。

もし若山さんが真実を歪めていると仮定して、何故、真実は歪められたのか?

小保方さんの主張では、若山さんは様々な場面で真実を歪めていることになっているが、私が問題にする真実は、前回「2016-02-04 - Schrödingerの狸」で取り上げた「あの日」の出来事の真実に限定する。そうすると真実は「若山さんは小保方さんのいないところで、キメラが光るのを見て、そのことを小保方さんに連絡した」となる。では、ここで「真実」を小説風に再現してみよう。

 その日、もうすぐ日付が変わろうとする頃、晴子の携帯が鳴った。爆睡していた晴子はベッドの中から手を伸ばし、携帯を取った。若山からだった。 

「ハルちゃん、ハルちゃん、すごいよ」 

なに言うてんねん、このおっさん、そう思った晴子は、「はぁ?」と返事するしかなかった。だが携帯の向こうの若山は興奮を抑えることができないようで、晴子は彼の鼻息が伝わって来る気がして、気色悪かった。 

「ハルちゃん、光ったんだよ」 

「先生の頭ですか?」 

この無礼な返答にも若山は動じなかった。 

「違うよ。僕の頭はずいぶん昔から光ってるけど、でも今日初めて光ったんだ」 

晴子は真夜中に起こされ、意味不明のことを言う若山にしだいに苛立ちを募らせていた。その気持ちを伝えるために、晴子は語気強く尋ねた。 

「だから、いったい何が光ったんですか!?」 

「聞いて驚くな。マウスの赤ちゃんだ」 

なんだ、そんなことか、そう思った晴子は、改めて安らかな睡眠の邪魔をされたことに腹を立て「そんなことで、真夜中に電話してくるな」と言いたかったが、相手は師匠である。そういうことは言うべきでない程度の常識は、晴子にもあった。晴子は沈黙した。この沈黙を若山は勘違いした。晴子は驚きと感動のあまり、言葉を失ったのだと。そう思うと、逆に若山が冷静さを取り戻し、晴子に伝えた。 

「これでSTAP細胞が多能性を持つことが実証された。ハルちゃんの仮説は実証されたんだ」 

私の仮説が実証されたって、何、それ? 

「そうですか」 

晴子はそう応えるしかなかった。その冷めた反応に、今度は若山が驚き、沈黙した。 

 以上が、真実を歪めたのは若山さんだと仮定した場合における「真実」である。ただし、この「真実」は幾分、脚色されている、というより、相当、脚色されている、ていうか、小保方さんの『あの日』には「若山先生からキメラができたと連絡を受けた」という記述しかないので、その一点の事実をもとに捏造された私の妄想である。

しかし、真実を面白おかしく伝えることは悪いことではない、と私は思う。ただし、あまり褒められたことではないことも事実である。少なくとも良識ある人のひんしゅくを買う覚悟が必要である。では真実を感動的に伝えることは、どうだろう?

「その時マウスは緑色に光った!」という真実をより感動的に伝えるには、若山さんだけが、その場に居たのでは物足りない。STAP研究の主役である小保方さんも「その瞬間」を直接、目撃した、そうしたほうが感動的ではないか。若山さんが真実を歪めたと仮定した場合、その理由は真実をより感動的に伝えるためであったと推定されるのである。その場合、真実は「歪められた」というより「脚色された」という方が妥当であろう。

では「真実を歪めたのは小保方だ!」とすれば、どうであろう。若山さんの証言通り、キメラが光るのを見て

 小保方さんは涙を浮かべて喜んでいました。 

梶原しげる:【294】「その時マウスは緑色に光った!」若山教授が語った幻のSTAP細胞誕生秘話 | BizCOLLEGE <日経BPnet>

が真実であったとして、小保方さんはなぜ、その真実を歪めなければならなかったのか。そこには小保方さんにとって「不都合な真実」があるのか。そういう邪心をもって『あの日』を読んでみるのも、一興である。

 

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